一日一曲を目指しオススメの洋楽を記録します。 洋楽好きによる洋楽好きのための記録 ( Record )! 『 最強の洋楽とは ??? 』 を Thema に、好き勝手気まま日記的な物になりますが、備忘録にも。 『 いやぁ ♪ music って本当にいいもんですね~。サヨナラ・・・サヨナラ・・・サヨナラ~。』
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Artist : Linkin Park
Song : Waiting For The End

『 落ち着く 』 。
リンパーの 4th から。
3rd から路線変更してますが、この曲とか聴いてると、このリンパもかなり良い !!! と思います。
この曲を聴きながら今年一年を締め括りたいと思う今日この頃・・・今年も色々あったなぁ・・・大変だった事ばかり思い浮かぶけど・・・ (笑)
★個人見解評点(10点満点)★曲の良さではなく指標に成ればと…
さて、キリ番では無いのですが大晦日と言う事も有って隠し頁 ( 企画 ) ← 何じゃそりゃ ?
※※※ はじめに(ここから) ※※※
小生趣味の小説です。高校~大学時代に書いたので、非常に御恥ずかしいレベルのもので、且つ、小生の奥深くに潜むマニアック ( 変態的 ) なものですので、興味無い方は勿論、興味有る方も可能な限り無視 ( スルー ) 頂きたい、と言うのが本音です (笑)
恥ずかしながら乙一先生の再生工場にて稚拙な文章を直してもらいたいなぁ、と烏滸がましく考えてたりしました。
※※※ はじめに(ここまで) ※※※
「実話(ノンフィクション)」
どうも、バイトの神魔 ( じんま )です。
私のかくも無残な懺悔話をお話する前に、この話が決して作り話(フィクション)などではなく、実話(ノンフィクション)である事を宣言すると共に、これから読まれる方に多大なる不快感と恐怖を与える可能性があり、その事で人生を狂わせる、又は破滅するようないかなる不幸を受けても、保証はされない事を深くご理解頂ける事を誓って頂きたいと思います。
それは別に神で無くてもよいのです。むしろ私自身や他人に誓って頂ける方が、よっぽど私にとっては心地良いのです。このかくも下らない懺悔の手記を読んで頂ける事を感謝して話を始めたいと思います。ここからは私の昔の回想シーンをできるだけ鮮明に簡潔に書き進めたいと思います。
「事実は小説よりも奇なり」です。
親友が死に、私は生き残りました。
11年前…
「ハアー、ハアー…たー君、待ってよ、今日は、どこに行くの?」
その日は雲一つ無く澄み切った青空があり、ちょっと顔を上げると、眩しい陽光のせいで、くしゃみをしてしまいそうな暑い暑い夏でした。
その日がどんな日だったのか、昨日の事のように、今でも何故か思い出せるのです。むしろ鮮明に眼前に、体中に沸き上がってきます。体が反応、拒絶を繰り返し、時折嘔吐感に苛まれながらも目を擦って何とか私は正気を取り戻します。震える拳を大地に叩き付けながら、私は罪の意識を打ち消さずにはいられませんでした。
気持ち悪い…何時も私を悩ます親友の死!それは絶望とも言える私の孤独の砂漠でしょう。
何という爽やかな日だったのでしょう。
「今日は、かくれんぼしよう。隠れるのにいい洞窟があるんだ」
私と、たー君(彼こそが私にとって少年時代たった一人の大親友だったのですが)は、その日学校が終わるとすぐに裏山を登っていきました。
「よし!…この木でっかいから、この木で数えるようにしよう!」
たー君が指差した銀杏の木は裏山でも一番大きい木だったと記憶しています。そして、それの周りなら隠れる所も沢山あって、かくれんぼには、もってこいの場所だった事もおぼろげながら記憶しています。しかし、それがまさかあんな悲劇をもたらすとは微塵も予想しえませんでした。幼すぎたのでしょう、私は。
「じゃあ、鬼決めよう!…最初はグー!ジャンケンポン!」
私はパーで、たー君はチョキ。ここで私が負けなかったら、あんな事は起きなかったのではないだろうか?と何度も思えるのですが、しかしそれも後の祭りである事に代わりありません。ジャンケンで負けた私は、木の所で数を数えはじめました。10数え終わり、
「もぅーいぃーかい?」
「…まぁーだだよ」
たー君の声が聞こえたので、私はまた数を数えはじめました。
「もぅーいぃーかい?」
「…」
返事はありませんでした。
「たー君ー。もぅーいぃーかい?」
「…」
やはり返事は無いのです。
もう一度大きな声で聞きますが、
「もぅーいぃーかい!?」
「…」
いくら言っても返事は返ってきませんでした。
とうとう私は我慢できなくなり、たー君を探す事にしたのです。
「たー君!…たー君!…おーい!…何処にいるのー…」
一通りそれらしい所を探しますが、たー君の姿は皆目見当もつきません。
それは仕方のない事だったのかもしれませんが。
数分後…ポツポツと振り出した雨粒が顔に当たるのに気付き、空を見上げると、つい先程まで雲一つ無かった青空にどんよりとした雲が見えます。
降るのかな?と少々不快感に苛まれながらも、たー君を探し出さない事には帰れない、と一人前にも責任感を持ったのです。その時、
「だいたいな…むかつくんだよ…」
「…そん…な」
「…むかつくぜ…先公の野郎…」
数人の声がふと私の耳に入ります。
そちらの方に注意を向けた、その時、私の双眸に飛び込んできたのは!
ボグッ!
「へっへっへっへ・・・たぁ坊。痛いかぁ?」
殴られて崩れ落ちる、たー君。
「おいおい・・・その辺にしといてやれよ・・・本当に死んじまうぞ・・・」
「へっ!死んだって構わねえよ!ここのところいい事なくてよ!俺は欲求不満なんだ!!殴り殺したって誰も文句言わねえだろう!」
恐ろしい会話が聞こえました。私の心と体は幼いだけに震え上がりました。
上級生に囲まれた、たー君が、ボコボコにされている。それだけで不安と恐怖が募り私の表情をかくも醜く変形させたに違いありません。
「…た…」
声が出ない!声が出ない!声が出ない!声が出ない!声が出ない!
「…う…」
足が出ない!体が前に出ない!飛び出せない!体が動かない!!
私の目の前でボコボコにされ続けた、たー君。
私は無意識のうちに唇を噛んでいました。
(たー君を助けなきゃ!)
拳に力が入ったのも事実です。
(あの時だって、たー君は僕を助けてくれたじゃないか!!)
がたがた震える膝を必死に押さえようとした自分がいました。
(だから!)
「うおぉぉぉぉぉー!!!たぁぁぁぁーくぅぅぅぅーん!!!」
私は、気付いたら飛び出していました。
手に持っていた小石を、勇猛果敢にも主格(リーダー)に投げつけたのです。それは私にとって生まれて初めての勇気ある行動だったに違いありません。
「うおっ!?」
咄嗟に主格は、それを避けようとしますが、
ガツン!
それは的確に命中し、主格は頭から血を流しだしました。血の量から思ったより傷は大きかったようです。しかしそれは、かえって不幸でしかない事に気付く程、私は大人ではなかったのです。
「たぁぁぁ君!たぁぁ君!たぁ君ー…うぅうぅう…」
たー君の倒れている側にいた上級生を突き飛ばして、たー君に寄り添いました。しかし、上級生達はそんな私を黙って見ている筈がありません。
「ふざけやがってぇええー!!!ぶち殺すぞ!こらぁ!!」
頭から血を流しながら主格が物凄い形相を真っ赤に紅潮させて叫びます。
その叫び声が下腹部まで響いたような感じを受けながら、相手を見据えます。しかし、その目はきっと恐怖に震えていたに違いありません。主格は、真っ赤に紅潮させた表情を少し緩めたかと思うと、嫌な笑みを口元にこぼしながら、
「おい!たぁ坊!!お前は助けてやる!!その代わりこいつをボコボコにしてやる!!いいな!!!」
自分の中に小さな電流が駆け抜けた気がしました。また震えが止まらなくなるのを感じます。たー君の方を見ると、たー君は小さく笑っていました。その笑いがどんな意味を持っているのか幼い私には分かりかねます。
ガンッ!!
次の瞬間、目の前が真っ白になったのだと思います。実際目の前が真っ白になるという事がどんな事かよく分からないのですが。
大きな石で思い切り頭を叩かれた感触があります。それは痛みとか石が頭に触れたと感知したわけでもないのですが、第六感とでも言うべきか、感覚として残ったと言うべきだと思います。とにかく形容し難いのですが、分かり易く申しますと、何となく、といった感じだったのです。
白目になり、腕や足に力が入っていない、死体らしき自分が見えたのです。幽体離脱でもしたのでしょう。要するに私、神魔 ( じんま ) 龍は死んだというわけであります。
…しかし、それは…
…幻想だったのです…単なる幻覚だったのです。たー君を助けにいった自分が上級生に殺される幻想…夢物語。人間はこんな幻想を描く事があるのでしょうか?とても現実に近い、こんな悲惨な幻想は描かないでしょう。
激しい嘔吐感が、自分を襲いました。涙で一杯になった目線を、必死に、たー君と上級生達に向ける。涙のせいで、はっきりとは認識できませんが、未だに、たー君は殴られ、蹴られ、ボコボコにされ続けているのは間違いないようです。
(よく分からない)
(よく分からない!)
(どうすればいいのか?)
(どうすればいいのか!?)
(どうすればいいのか!!?)
ふと、目線が合いました。たー君の目線と私の目線が合いました。はっきりいって目を背けたくてたまりませんでした。できれば、たー君の目を見たくなかった、というのが私の率直な意見です。嫌な男です。
…たー君の目は、確実にさも鮮明に、恐怖と悲痛、そして…
…助けてくれ!!!!!…と目で訴えている事が、嫌だという程分かりました。
(飛び出さなきゃならないのだろうな…彼は助けを欲しがっているんだろうな…誰よりも僕の助けを待っているのだろうな…頭の中では分かっている! そんな事ぐらい分かっているんだ! 本当は分からないんじゃない! 分かっているんだ! 嫌という程!…でも…)
互いに目を背けなかったのです。私の表情を見て、たー君は最初、助けを待っている事がよく分かりました。しかし、しばらくして、たー君は不意に、ふっ…と笑ったような気がしました。その目、その表情は諦めに見えたのです。
自分もすぐに妥協する人間ですから諦めた時の目は非情に認識し易いのです。勝手な解釈かもしれませんが、確かにそう見えたのです。たー君の諦めが、目に見えたその時でした。
主格が持った大きな大きな石が、たー君の額を襲いました!骨が折れるような嫌な音が響くと…一瞬その場は静けさに包まれました…
私は耳の下の筋肉をピクンと引きつらせました。
「おい…本当に殺しちまったんじゃねえだろうな」
「は…はははは…おい!たぁ坊!おい!冗談だろ!目を覚ませよ!おい!!」
しかし、たー君が死んでいるのは誰が見ても明らかです。それは上級生や私のように幼すぎる者達でさえ、実感できるものでした。
決して変えられない事実に恐怖を覚え絶望する上級生達と…そして私。耐え難い沈黙が起こり…その沈黙は、とてつもなく長い沈黙だったような気がしますが、今思うとそれはほんの数秒だったのでしょう。
「俺のせいじゃねえ!俺のせいじゃねえよ!!」
雷にでも撃たれたかのように、逃げ出す上級生の一人。
「俺も違うよ!俺はやってねえ!」
「俺もだ!」
「おい!待て!冗談じゃねえぞ!俺だって!!」
蜘蛛の子を散らすように、一斉に飛び散る上級生達。そして、そこには誰もいなくなりました…
一瞬、たー君のところに行こうかとも思いました。それは死体の側に寄るという事と、他界しようとする気持ちが入り混じったわけですが。
…しかし、遠くから見ても生きているか死んでいるのかは明らかに分かります。今となっては手後れです。たー君は死んだのです。それは明らかに事実の真理です。
結局私は、たー君を助ける事ができなかったのです。苛められていた私を助けてくれた、たった一人の親友、たー君を私は助ける事ができなかったのです。
自分が殴られるのが怖かった!
また苛められるのが怖かった!
死ぬのが怖かった!
例えようの無い恐怖に勝てなかった!
どうしようもできなかった!!!
私の両目から大量の滴が流れ出しました。それは親友を亡くした事が起こした現象ではないのでしょう。悲しい…それ以外の言葉は、その場にはありませんでした。涙と鼻水と涎を流しながら、汚らしく私は泣き続けたのです。
それから…何時間経ったのでしょう?辺りは暗くなっていて、山道を下りるのも楽ではありませんでした…が、そんな事はどうでもよいのです。半死人…まるでゾンビのようにフラフラフラフラしながら、山道を下りていきます。
途中、何度も何度も転びながら、泥だらけになって家に着きました。幸いと言うべきか、不幸と言うべきか、両親は共働きで夜遅くなってからでないと、帰ってこないのです。不思議な事に帰るまでの道程に、人一人会ってないというのも今思えば不幸だったのでしょう。
トゥルルル…トゥルルル…
電話のベルにびくっとしましたが、とりあえず電話の前に立ちます。番号通知を見ると、小川となっていました。
(たー君!?)
それは、たー君の家の番号でした。
(たー君!…まさか!いや、違う!たー君は死んでた。確かに彼は死んでた)
それでも鳴り続ける電話のベル。いつもなら何とも思わない電話のベルが、今は何故か悪魔の叫び声、いや、たー君の悲痛な金切り声に聞こえました。震えながらも、出ないわけにはいきません。ゆっくりと受話器を取ります。その手は震えていました。
「…はい…神魔 ( じんま )…ですけど…」
「龍ちゃん!小川のおばちゃんやけど、達明…たー君遊びに行ってない?」
やけに甲高い、それでいてやけに早口にまくしたてるのが小川のおばちゃんの癖でした。普段は何とも思わないおばちゃんの声も私の喉を掻っ切るようなナイフに感じました。
「…たー君…来てないよ…今日は一緒じゃなかったから…」
聞き取りにくい小さな小さな声で言ったのですが、それは恐ろしい程自然に出た答えでした。私の顔は今までで一番冷酷な顔をしていたに違いないでしょう。先程までの震えも嘘のように止まっていました。きっと残忍な人間は、平然と嘘をついても普通でいられるのでしょう。
私もそんな人間に仲間入りしたかと思うと、反吐を吐きたくなりました。
それでもおばちゃんの甲高い声は一層声音が上がり、
「そうなの!?おかしいわね?こんな時間になっても帰ってこないのよ…てっきり龍ちゃんの所に遊びに行ってるのかと思ったんだけど…何処に行ったか心当たり無い?」
(心当たりどころか…僕は! )
思わず拳に力が入りました。しかし、私はまたもや平然と、
「…分からない…学校出るまでは一緒だったんだけど…その後用事があるって言ってどっか行っちゃった…」
その声は笑っていたのかもしれません。悪魔のように、さぞ恐ろしい笑みだったでしょう。
「そう、御免なさいね。一緒だと思ったから。もし、達明が龍ちゃん家に行ったら帰るように言っておいてくれる?晩御飯できてるからって」
(…おばちゃん…僕は…)
「…うん」
そう言うと、おばちゃんは元気良く電話を切ったのです。人を疑う事を知らないおばちゃん。何というお人好しでしょう。世の中には私のように冷酷で残忍な人間がうようよいるってのに。私はこの幼さで人間の汚さや狡さを覚えたのです。
しばらく…ツーツー…と続く電話の音を聞きながら私は受話器を置きました。その時の私の表情を見てもらいたいぐらいです。しかし…自分への怒りと悲しみを抑えることはできませんでした。風呂場に駆け込み、服も脱がずシャワーを全開にして浴びました。
30分近く身動き一つせずシャワーを浴び、色んな事を考えていました。真っ白になりそうな頭を時には振ってみて、時には壁に打ち付けて考え続けていました。
(たー君は僕が殺した…直接手を下してはいないが…僕が殺したも同然だ…)
江戸川 乱歩の「赤い部屋」の主人公のように完全犯罪を私は成し遂げたのです。しかし、それは私の望むところではなかったのですから、殺人にはならないのでしょうが。
それから半年…私は毎日悪夢に魘されました。
毎日毎日同じ夢ばかり見る…この時程、神を怨んだ事は無いでしょう。苛めにあっていた時でさえ、ここまで神を怨んだ事は決して無かったような気がします。その時点でそれは、苛めと言う程の事でもなかったのかもしれませんが。
自分が痛い目にあうよりも、親友を失う方がよっぽど痛い…なら、何故、たー君を助けなかった?本当はどうなんだ?本当に私は自分より彼の方が大切なのか?分からない? いつもそんな疑問を抱きながら、毎日を暮らしていったのです。
その後、普通に中学校、そして工業高校に入学し、大学に入り今に至るわけですが、一応高校の事を少々話しておいた方が良いでしょう。と言うか、そこが今回の一番重要な部分になるわけでありまして、ここを話さなくては私の懺悔話は完成しえないのです。
中学から私は、オカルトにはまりました。いや、はまらざるをえなかったのでしょう。薄々それは感じていたのですが、あえてそれを糧にして生きる事は考えませんでした。それは単に自分を苦しめる事にしかならないと思ったからです。
それでもやはり私は罪の意識に苛まされ、自分を無意識のうちに苦しめる事は多々あったのでしょうが。
高校に入ってからも、より一層オカルトについて勉強しました。寝るのも惜しんで本を読んだり、親には高校の勉強で使うと嘘を付いてお金を貰い、研究材料に注ぎ込む日々もありました。今思えばそれも良い想い出です。
私にとって良い想い出など皆無に等しいのですが、自分の足枷は私の生きてきた軌跡であって、決して忘れられないでしょう。なんだかんだ言ってずっと考えていたのです、試行錯誤していたのです、私は…
罪滅ぼしになるとは全く思わないですし、何もしないで生きていく気力は元々私には無かったのではないのでしょうか。
高校に入ってすぐに私はオカルト研究同好会(田舎なのですが、何故かそんな怪しげな部活動はあったのです)に入り、少ない部員達と共に日夜研究に励みました。と言っても所詮は学生の遊戯です。身を削るようにして研究していたのはきっと私一人だけだったのではないでしょうか。
まあ、その事について私は別に不快感を持ったわけではないですから文句の一つもありませんでしたが。
高校2年の4月だったか、5月だったかあまりはっきりとは記憶していませんが、私にも私の理不尽な研究活動を認めてくれる人が出てきてくれました。
それは違う学校に通っていた中学校時代の同級生の女生徒でした。彼女も、少々オカルトに興味があったようなのですが、私の異様な狂気にも似たオカルトに対する執着心に惹かれたのでしょうか?
彼女も、もしかしたら変わり者だったのかもしれません。こんな私を慕ってくれるという時点で、ちょっと変わった子であったのは間違いないでしょう。学校が終わると、私は電車通だったのですが、彼女も偶に私と一緒に研究に力を注いでくれる事もありました。
その頃がもしかしたら人並みの幸せだったのかもしれませんが、あまり男女の関係とやらに無関心であった私(そんな事よりも私には大きな使命が科せられていたのですから)は、彼女の気持ちを半分も理解しなかったのでしょう。
ふと、彼女がオカルトのビデオを借りてきました。彼女の部屋にはTVもビデオデッキもあったので、彼女の部屋で見る事になりました。
しかし、悲惨なことに、そのビデオはオカルトというよりもホラーに近いビデオでした。しかも、その話は、小学生の仲良し二人組みが出てきて一緒に遊んでいたら、上級生達にからまれて、結局一人がもう一人を庇い殺されてしまうという話だったのです。
最後に殺された子が半透明(皮膚と肉が透明なのです。要するに人間の形を縁取っているのですが、あるのは骨と内臓、眼球、脳といったものばかりの薄気味悪い化け物です)な姿になって復活し、上級生達に復讐するわけですが、復讐を成し遂げた後、親友だった子を食べる(生きたまま食らうわけです)事によって普通の人間として生活できたというところで幕を閉じます。
その話は私を震え上がらせました。まるでこのビデオを作った人は私の人生を見てきたかのようにそっくりに作っているのです。不思議なことに製作者の名前だけは最後まで出てきませんでした。しかし、彼女は、
「凄い話だったね。でも私こういう話好きだな。龍ちゃんも好きでしょ、こういうの。でもね、実は他にも色々借りてるんだ。ラブストーリーなんてどう?」
私は震え上がると同時に怒りが込み上げてきました。忘れた筈なのに私の思考の中にはそれしかありませんでした。
「うるさい!何でこんな物借りた!!研究じゃなかったのか!!ふざけんてんのか!!」
私の怒りは爆発し、
ぱんっ!!
彼女の顔を思い切り平手で殴りました。彼女は殴られて完全に茫然自失になってしまいました。怒りにまかせて私は部屋を飛び出し、あの裏山に走りました。一晩中泣き崩れていた私は一週間学校を休みました。彼女から電話が何度かあったのですが、私は絶対に口をききませんでした。
暑い夏に差し掛かった良き日に起こった出来事です。それから私は彼女と話していません。しかし、こんな恋愛物語を書きたいわけではありません。高校3年になって、私は研究に研究を重ね、遂にその研究の成果を試す時が来たのです。
私達が、いや、私が必死になって研究してきたものとは…生物蘇生の魔術だったのです。私の意気込みを気に入ってか、オカルト研究同好会のメンバーも私に力を貸してくれる事になりました。ありとあらゆる器材、道具を集めて、真夏の夜中に、遂に恐るべき計画を実行する事となったのです。
私は、私が殺したたった一人の親友…たー君を蘇生させようと言うのです。無論、上手くいく確立など零に近いものぐらい分かってはいます。しかし、上手くいく、上手くいかないなどもはや問題ではなかったのでしょう。これの意味は、この危険度の高い魔術を行う事にあるのです。
私は例え地獄におちてもかまいません。自らの手を汚す事に意味があるのですから。
(貴様らには、私の気持ちなど分かる筈が無いのだ!!!)
いつも私は他人が羨ましかったのです。憎かったのです。私は他人とは違う!と思い続けていたから。
時刻は0:00。遂にこの瞬間が訪れました。悲願達成まで後少しなのです。
オカルト研究同好会の部員、それはおそらく今までで最高の人数が集まったでしょう…7名が部室に集い、部室の中央に六紡星(邪悪な魔法陣です)を描き、それを囲む様にして、一人一人が決まった手順で意味不明な呪文を唱えます。
「ルキア/アグルフ/リグルリフアリ/ラフィラフィリグル・・・ファーストネームイクォールオガワ・・・セコンドネームイクォールタツアキ!ゴッドデヴィルの御名において許されざる子羊達の眺望の前に現参せよ!」
結局…何も起こらなかったのです。十数分待ちましたが、それも無駄でした。一人、また一人と文句一つ言わず部室を後にします。気付いたら残っていたのは私一人だけだったのです。時計を見ると、0:30・・・こうなる事ぐらい予想していました。
私には決して後悔など無かったのです。むしろこれからの生きる目標が無くならなくて済んだとほっとしていたに違いないでしょう。しかし…
…奇跡は起こったのです。目が眩む程の発光と、鼓膜が裂けそうになる程の轟音、そして死体を初めて匂った時の腐った悪臭、さらに血と泥の味…体中がバラバラに砕け散りそうな感触!五感全てが麻痺するような感じでした。
その時、私は神を見たのでしょうか?それとも罪深い悪魔?目の前にいたのは、確かに私の親友…たー君…小川 達明その人でした。
…私は震えました。そのあまりの出来事に、喜びと悲しみと嬉しさと悔しさと驚嘆と感慨が入り交じった様なよく分からない、理解しえない、考察できない自分に震えました。
(一体何なのだろう?この気持ちは、形容できないこの気持ちは)
ふと涙がポロポロ溢れ出てきました。この時の私の顔はきっと見れたものではなかったでしょうね。私は、生涯、もう会う事もできないであろう、親友であった、たー君にもう一度、触る事ができるのです。誰一人としてこんな体験は持っていないでしょう。彼に近寄り、私は号泣しました。泣きながら…
「…たー君…御免よぉ…僕は…君を助けられなかった…僕には君を助けにいく勇気が無かったんだ…御免よぉ…御免よぉぉ…」
何度も何度も謝ったのですが…しかし…意外な答えが返ってきたのです。
「…龍ちゃん…すまなかった…俺は君を助ける事ができなかった…俺には、そんな力など無かった…君を助ける事ができず今まで生きてきた…君を生き返らせる事が俺の役目だったんだ…君は今まで夢を見ていたんだね…」
意味不明な言葉が返ってきたのです。全くと言って意味不明。しばらく私は理解できませんでした。
「…あの時、君は俺を助けに飛び出した…しかし、上級生達は、助けに入った君を怒り、石で殴りつけたんだ…俺の見ている前で君は死んだ…これは変えられない事実だ…死んでから今まで君は夢でも見てきたのだね…そうか…夢の中では…君の中では…君は、俺が死んだと勘違いして、俺を生き返らせようとしたんだね…それを聞いて嬉しいよ…君が今までそんな夢を見ていてくれて…だが、君が死んでいたのは事実だ…君は完全に蘇生はできなかったようだ…」
それを聞いた途端、私は、震えが止まらなくなりました。
(…死んだのは…僕?…そんな馬鹿な…じゃ…今まで見ていたのは…ということは、あれは幻想じゃなかったのか!?あれは幻覚じゃなかったのか?あれは現実だったのか!?)
信じられないといった表情をした私を見て彼は優しくそれでいてはっきりと分かるように言いました。
「…それを証拠に…鏡を見たまえ…」
言って、たー君は部室の壁に貼り付けてある大きな鏡を指差しました。
そこに写っていたのは…たー君と…そして、人間の標本とでも言うべきか…肉と皮が透明で、骨や、臓器、脳に眼球、血管などで構成された人間…あのビデオに出てきた化け物。それが私自身、神魔 ( じんま ) 龍その人だったのです。
「…う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁあっぁぁぁあぁ!!!!!!!!」
頭が割れるかのような叫び声を上げ、気絶しそうになりながらも意識をしっかりと定めます。このまま夢の世界へ行けたらどんなに楽だろうという衝動に駆られながらも必死に現世との意識の楔を繋ぎ止めながら、しばらく呆然としていました。
腹の中から熱いものが込み上げてきて、それは喉を焼きながら異物となって私の口から飛び出てきました。しばらく涙を流し息を荒げながら苦しみ、しばらくして再び感慨に耽りました。
親友はそんな私に悲哀に満ちた眼差しを向けていました。私も彼をそんな目で見ていたのでしょうか?いえ、私は恐怖に脅える眼差しを彼に向け、「僕はどうすればいいのか?」と彼に対して心の中で繰り返し叫んでいたのだと思います。
彼もそんな私の真意を見抜いたのか、フッと笑みをこぼしたかと思うと、彼の口からとんでもない言葉が発せられたのです。
「君を完全に蘇生させる事はできなかった。それは最初から分かっていたのだがね。そもそも人体蘇生術が成功する確立は10の-19乗%。完全な体、要するに人間の肉体で蘇生する確立はもっと低かった。残念ながら君が蘇生したのは、まさに奇跡というしかないのだ。だが、安心してくれ。君が人間として生活する方法はあるのだ。人間の肉体を持つ方法がね」
彼はもったいぶるように遠回しに言うのです。いや、言いたくないのがひしひし伝わってくるのですが。彼の負の感情が私の脳、いや心臓に響くのです。胸が押し潰されるような焼けるような苦しみが彼の感情によって与えられるのです。
私は悲哀を感じずにはいられませんでした。その先はあまり言ってほしくなかったのです。無意識のうちに私は首を横に何度も振っていました。しかし、彼はその先を言ってしまったのです。まるで感情のない声で、
「君が人間の肉体を取り戻す方法は実に簡単だ…俺を食べればいい。生きた人間の血肉を食べる事により、君は、君に失われた肉体と皮膚を取り戻す事ができる。君は普通の人間として暮らす事ができるのだよ。そして人体蘇生術の凄い所は、周りの人間に君が死んだという事実を忘れさせる事ができる。現状では君は死んだ事になっているのだが、まあ、実際死んでいたのだから当たり前だが。君がこの世界に戻ってきた時点で君は死んでいなかったという事になるのだ。まさに神が起こした奇跡だよ。そして運命でもう決められているのだ。君は俺を食べて生活していく。人体蘇生術で蘇生した人間は最初に見た人物、要するに俺を食べるのだ。絶対に。まあ、完全体で復活すれば別だが」
言って彼はニッコリと満面に笑みを浮かべました。彼は何を言ってるんだ?としばらく自問自答しながらも彼の言っている意味は理解できます。
しかし、私が彼を食べる筈があるわけないじゃないですか。しかし、それは私が蘇生した意味がないという事を裏付ける事でもあります。
「さあ、遠慮する事はない。俺はもう十分生きた。悔いはない。俺を食らうんだ」
言って彼は両手を広げ、私に食べられるのを望むのです。こんな馬鹿げた話があるでしょうか。馬鹿馬鹿しすぎて私は頭の中が真っ白になりそうでした。しかし、私の中のどす黒い感情が異様に高まってくるのです。
負の感情というものか、それとも悪人が人を殺す時に生まれる感情か、それともただただ純粋に生への欲望か、何がなんだか分からなかったのですが、気付いた時には私は彼をさも美味しそうに食べたのです。まるで腹が減った野獣のように、親友であった、たー君を私は貪ったのです。
生きた人間の血肉。美味しかったのか不味かったのかよく記憶していません。あまり記憶したいとは思いませんが。とにかく私は彼を食らったのです。腕や足を引き千切りながら(何故か素手で簡単に彼の体を引き千切れました)嫌な音を立てて彼を食らいました。
不思議と彼も私も平然とそれをやってのけたのです。
彼は抵抗どころか、むしろ私に食われる事が本望かのように平然としていましたし(実際叫び声一つ上げませんでした)私も親友を食べる事が痛くも痒くもないかのように当たり前の如く彼を食らいました。そこには友情も怒りも悲しみもありませんでした。
とにかく人間の欲求である「食べる」という事を行っただけだったのです。食べ終わった(彼を平らげた)後も私は涙一つ流さず、口元を拭い、満足そうな微笑を浮かべました。鏡を見ると私は普通の人間の体に戻っていました。
別に嬉しくもありませんし、悲しくもありませんでした。彼が今までいた場所には、骨一つ残っていなかったのです。私は人間を全て食らう事によって完全犯罪を成し遂げてしまったのです。不思議なことにそこには血さえ残っていなかったのですから。
昔これと同じ事があったような・・・と既視感(デジャヴ)を覚えました。
そうして私は高校を卒業し、大学に入り今に至るわけです。ですが、今までに何度か奇妙な体験をしました。私はどうやら人間離れした能力を二つ手に入れたようなのです。
まず一つ目は、人間を食らうという事です。完全犯罪のためにやっているわけではなくて、周期的にどうやら人間が欲しくなるようになっているのです、私の体は。現在まで十人の人間を食べましたが、やはり若い女性が一番美味しかったのを記憶しています。
大学に入ってすぐだったのですが、市内で起きた女子高生失踪事件で行方不明になっている彼女を私は食らったのです。他にも色々な人を食らいましたが、やはり若い女性が一番だったようです。周期的に言うと、そろそろ私が人間を欲しがる時期に来ています。
まだ誰を食らうかはその時になってみないと分からないのですが、犠牲者になった方はこれも運命だと思って諦めて下さい。
そしてもう一つは、人の負の感情をある程度読めるという事です。高校時代、校内で暴力事件が起こったのですが、私はそれを予感していました。
結果は殺人までいかなかったので良かったのですが、彼(暴力事件を起こした人です)は、本当に殺してしまうのでは?と思わせる程のどす黒い負の感情を背負っていました。最後には彼にも光が射したのだと思います。
そして私のこういった負の感情を読み取り予期した事は何度も当たりました。今のところ、100%です。そして、最近、負の感情が次第に高まっていくのを感じています。このままいくと、大学内で殺人事件が起こります。
近い将来きっと起こるでしょう。
ですが、この事を喋る事はできかねます。運命、いえ、もはやこれは輪廻によって定められている事なのですから。とにかく私はこの事については絶対に喋りません。喋ってはいけない事であり、私はできるだけ他人との会話を避けます。ふとした事でこの事を喋ってしまう可能性があるわけですから…
以上で私の懺悔の手記を終わります。この話は作り話(フィクション)です。ですから以上の事についての質問には一切答えられません。話してはいけないのです。どんな不幸が待っているか分かったものじゃないですからね。
Song : Waiting For The End
『 落ち着く 』 。
リンパーの 4th から。
3rd から路線変更してますが、この曲とか聴いてると、このリンパもかなり良い !!! と思います。
この曲を聴きながら今年一年を締め括りたいと思う今日この頃・・・今年も色々あったなぁ・・・大変だった事ばかり思い浮かぶけど・・・ (笑)
★個人見解評点(10点満点)★曲の良さではなく指標に成ればと…
| 泣き度 | 甘い度 | 壮大度 | ノリノリ度 | 激しさ度 | カッコ良さ度 |
| 7 | 2 | 10 | 3 | 3 | 9 |
さて、キリ番では無いのですが大晦日と言う事も有って隠し頁 ( 企画 ) ← 何じゃそりゃ ?
※※※ はじめに(ここから) ※※※
小生趣味の小説です。高校~大学時代に書いたので、非常に御恥ずかしいレベルのもので、且つ、小生の奥深くに潜むマニアック ( 変態的 ) なものですので、興味無い方は勿論、興味有る方も可能な限り無視 ( スルー ) 頂きたい、と言うのが本音です (笑)
恥ずかしながら乙一先生の再生工場にて稚拙な文章を直してもらいたいなぁ、と烏滸がましく考えてたりしました。
※※※ はじめに(ここまで) ※※※
「実話(ノンフィクション)」
どうも、バイトの神魔 ( じんま )です。
私のかくも無残な懺悔話をお話する前に、この話が決して作り話(フィクション)などではなく、実話(ノンフィクション)である事を宣言すると共に、これから読まれる方に多大なる不快感と恐怖を与える可能性があり、その事で人生を狂わせる、又は破滅するようないかなる不幸を受けても、保証はされない事を深くご理解頂ける事を誓って頂きたいと思います。
それは別に神で無くてもよいのです。むしろ私自身や他人に誓って頂ける方が、よっぽど私にとっては心地良いのです。このかくも下らない懺悔の手記を読んで頂ける事を感謝して話を始めたいと思います。ここからは私の昔の回想シーンをできるだけ鮮明に簡潔に書き進めたいと思います。
「事実は小説よりも奇なり」です。
親友が死に、私は生き残りました。
11年前…
「ハアー、ハアー…たー君、待ってよ、今日は、どこに行くの?」
その日は雲一つ無く澄み切った青空があり、ちょっと顔を上げると、眩しい陽光のせいで、くしゃみをしてしまいそうな暑い暑い夏でした。
その日がどんな日だったのか、昨日の事のように、今でも何故か思い出せるのです。むしろ鮮明に眼前に、体中に沸き上がってきます。体が反応、拒絶を繰り返し、時折嘔吐感に苛まれながらも目を擦って何とか私は正気を取り戻します。震える拳を大地に叩き付けながら、私は罪の意識を打ち消さずにはいられませんでした。
気持ち悪い…何時も私を悩ます親友の死!それは絶望とも言える私の孤独の砂漠でしょう。
何という爽やかな日だったのでしょう。
「今日は、かくれんぼしよう。隠れるのにいい洞窟があるんだ」
私と、たー君(彼こそが私にとって少年時代たった一人の大親友だったのですが)は、その日学校が終わるとすぐに裏山を登っていきました。
「よし!…この木でっかいから、この木で数えるようにしよう!」
たー君が指差した銀杏の木は裏山でも一番大きい木だったと記憶しています。そして、それの周りなら隠れる所も沢山あって、かくれんぼには、もってこいの場所だった事もおぼろげながら記憶しています。しかし、それがまさかあんな悲劇をもたらすとは微塵も予想しえませんでした。幼すぎたのでしょう、私は。
「じゃあ、鬼決めよう!…最初はグー!ジャンケンポン!」
私はパーで、たー君はチョキ。ここで私が負けなかったら、あんな事は起きなかったのではないだろうか?と何度も思えるのですが、しかしそれも後の祭りである事に代わりありません。ジャンケンで負けた私は、木の所で数を数えはじめました。10数え終わり、
「もぅーいぃーかい?」
「…まぁーだだよ」
たー君の声が聞こえたので、私はまた数を数えはじめました。
「もぅーいぃーかい?」
「…」
返事はありませんでした。
「たー君ー。もぅーいぃーかい?」
「…」
やはり返事は無いのです。
もう一度大きな声で聞きますが、
「もぅーいぃーかい!?」
「…」
いくら言っても返事は返ってきませんでした。
とうとう私は我慢できなくなり、たー君を探す事にしたのです。
「たー君!…たー君!…おーい!…何処にいるのー…」
一通りそれらしい所を探しますが、たー君の姿は皆目見当もつきません。
それは仕方のない事だったのかもしれませんが。
数分後…ポツポツと振り出した雨粒が顔に当たるのに気付き、空を見上げると、つい先程まで雲一つ無かった青空にどんよりとした雲が見えます。
降るのかな?と少々不快感に苛まれながらも、たー君を探し出さない事には帰れない、と一人前にも責任感を持ったのです。その時、
「だいたいな…むかつくんだよ…」
「…そん…な」
「…むかつくぜ…先公の野郎…」
数人の声がふと私の耳に入ります。
そちらの方に注意を向けた、その時、私の双眸に飛び込んできたのは!
ボグッ!
「へっへっへっへ・・・たぁ坊。痛いかぁ?」
殴られて崩れ落ちる、たー君。
「おいおい・・・その辺にしといてやれよ・・・本当に死んじまうぞ・・・」
「へっ!死んだって構わねえよ!ここのところいい事なくてよ!俺は欲求不満なんだ!!殴り殺したって誰も文句言わねえだろう!」
恐ろしい会話が聞こえました。私の心と体は幼いだけに震え上がりました。
上級生に囲まれた、たー君が、ボコボコにされている。それだけで不安と恐怖が募り私の表情をかくも醜く変形させたに違いありません。
「…た…」
声が出ない!声が出ない!声が出ない!声が出ない!声が出ない!
「…う…」
足が出ない!体が前に出ない!飛び出せない!体が動かない!!
私の目の前でボコボコにされ続けた、たー君。
私は無意識のうちに唇を噛んでいました。
(たー君を助けなきゃ!)
拳に力が入ったのも事実です。
(あの時だって、たー君は僕を助けてくれたじゃないか!!)
がたがた震える膝を必死に押さえようとした自分がいました。
(だから!)
「うおぉぉぉぉぉー!!!たぁぁぁぁーくぅぅぅぅーん!!!」
私は、気付いたら飛び出していました。
手に持っていた小石を、勇猛果敢にも主格(リーダー)に投げつけたのです。それは私にとって生まれて初めての勇気ある行動だったに違いありません。
「うおっ!?」
咄嗟に主格は、それを避けようとしますが、
ガツン!
それは的確に命中し、主格は頭から血を流しだしました。血の量から思ったより傷は大きかったようです。しかしそれは、かえって不幸でしかない事に気付く程、私は大人ではなかったのです。
「たぁぁぁ君!たぁぁ君!たぁ君ー…うぅうぅう…」
たー君の倒れている側にいた上級生を突き飛ばして、たー君に寄り添いました。しかし、上級生達はそんな私を黙って見ている筈がありません。
「ふざけやがってぇええー!!!ぶち殺すぞ!こらぁ!!」
頭から血を流しながら主格が物凄い形相を真っ赤に紅潮させて叫びます。
その叫び声が下腹部まで響いたような感じを受けながら、相手を見据えます。しかし、その目はきっと恐怖に震えていたに違いありません。主格は、真っ赤に紅潮させた表情を少し緩めたかと思うと、嫌な笑みを口元にこぼしながら、
「おい!たぁ坊!!お前は助けてやる!!その代わりこいつをボコボコにしてやる!!いいな!!!」
自分の中に小さな電流が駆け抜けた気がしました。また震えが止まらなくなるのを感じます。たー君の方を見ると、たー君は小さく笑っていました。その笑いがどんな意味を持っているのか幼い私には分かりかねます。
ガンッ!!
次の瞬間、目の前が真っ白になったのだと思います。実際目の前が真っ白になるという事がどんな事かよく分からないのですが。
大きな石で思い切り頭を叩かれた感触があります。それは痛みとか石が頭に触れたと感知したわけでもないのですが、第六感とでも言うべきか、感覚として残ったと言うべきだと思います。とにかく形容し難いのですが、分かり易く申しますと、何となく、といった感じだったのです。
白目になり、腕や足に力が入っていない、死体らしき自分が見えたのです。幽体離脱でもしたのでしょう。要するに私、神魔 ( じんま ) 龍は死んだというわけであります。
…しかし、それは…
…幻想だったのです…単なる幻覚だったのです。たー君を助けにいった自分が上級生に殺される幻想…夢物語。人間はこんな幻想を描く事があるのでしょうか?とても現実に近い、こんな悲惨な幻想は描かないでしょう。
激しい嘔吐感が、自分を襲いました。涙で一杯になった目線を、必死に、たー君と上級生達に向ける。涙のせいで、はっきりとは認識できませんが、未だに、たー君は殴られ、蹴られ、ボコボコにされ続けているのは間違いないようです。
(よく分からない)
(よく分からない!)
(どうすればいいのか?)
(どうすればいいのか!?)
(どうすればいいのか!!?)
ふと、目線が合いました。たー君の目線と私の目線が合いました。はっきりいって目を背けたくてたまりませんでした。できれば、たー君の目を見たくなかった、というのが私の率直な意見です。嫌な男です。
…たー君の目は、確実にさも鮮明に、恐怖と悲痛、そして…
…助けてくれ!!!!!…と目で訴えている事が、嫌だという程分かりました。
(飛び出さなきゃならないのだろうな…彼は助けを欲しがっているんだろうな…誰よりも僕の助けを待っているのだろうな…頭の中では分かっている! そんな事ぐらい分かっているんだ! 本当は分からないんじゃない! 分かっているんだ! 嫌という程!…でも…)
互いに目を背けなかったのです。私の表情を見て、たー君は最初、助けを待っている事がよく分かりました。しかし、しばらくして、たー君は不意に、ふっ…と笑ったような気がしました。その目、その表情は諦めに見えたのです。
自分もすぐに妥協する人間ですから諦めた時の目は非情に認識し易いのです。勝手な解釈かもしれませんが、確かにそう見えたのです。たー君の諦めが、目に見えたその時でした。
主格が持った大きな大きな石が、たー君の額を襲いました!骨が折れるような嫌な音が響くと…一瞬その場は静けさに包まれました…
私は耳の下の筋肉をピクンと引きつらせました。
「おい…本当に殺しちまったんじゃねえだろうな」
「は…はははは…おい!たぁ坊!おい!冗談だろ!目を覚ませよ!おい!!」
しかし、たー君が死んでいるのは誰が見ても明らかです。それは上級生や私のように幼すぎる者達でさえ、実感できるものでした。
決して変えられない事実に恐怖を覚え絶望する上級生達と…そして私。耐え難い沈黙が起こり…その沈黙は、とてつもなく長い沈黙だったような気がしますが、今思うとそれはほんの数秒だったのでしょう。
「俺のせいじゃねえ!俺のせいじゃねえよ!!」
雷にでも撃たれたかのように、逃げ出す上級生の一人。
「俺も違うよ!俺はやってねえ!」
「俺もだ!」
「おい!待て!冗談じゃねえぞ!俺だって!!」
蜘蛛の子を散らすように、一斉に飛び散る上級生達。そして、そこには誰もいなくなりました…
一瞬、たー君のところに行こうかとも思いました。それは死体の側に寄るという事と、他界しようとする気持ちが入り混じったわけですが。
…しかし、遠くから見ても生きているか死んでいるのかは明らかに分かります。今となっては手後れです。たー君は死んだのです。それは明らかに事実の真理です。
結局私は、たー君を助ける事ができなかったのです。苛められていた私を助けてくれた、たった一人の親友、たー君を私は助ける事ができなかったのです。
自分が殴られるのが怖かった!
また苛められるのが怖かった!
死ぬのが怖かった!
例えようの無い恐怖に勝てなかった!
どうしようもできなかった!!!
私の両目から大量の滴が流れ出しました。それは親友を亡くした事が起こした現象ではないのでしょう。悲しい…それ以外の言葉は、その場にはありませんでした。涙と鼻水と涎を流しながら、汚らしく私は泣き続けたのです。
それから…何時間経ったのでしょう?辺りは暗くなっていて、山道を下りるのも楽ではありませんでした…が、そんな事はどうでもよいのです。半死人…まるでゾンビのようにフラフラフラフラしながら、山道を下りていきます。
途中、何度も何度も転びながら、泥だらけになって家に着きました。幸いと言うべきか、不幸と言うべきか、両親は共働きで夜遅くなってからでないと、帰ってこないのです。不思議な事に帰るまでの道程に、人一人会ってないというのも今思えば不幸だったのでしょう。
トゥルルル…トゥルルル…
電話のベルにびくっとしましたが、とりあえず電話の前に立ちます。番号通知を見ると、小川となっていました。
(たー君!?)
それは、たー君の家の番号でした。
(たー君!…まさか!いや、違う!たー君は死んでた。確かに彼は死んでた)
それでも鳴り続ける電話のベル。いつもなら何とも思わない電話のベルが、今は何故か悪魔の叫び声、いや、たー君の悲痛な金切り声に聞こえました。震えながらも、出ないわけにはいきません。ゆっくりと受話器を取ります。その手は震えていました。
「…はい…神魔 ( じんま )…ですけど…」
「龍ちゃん!小川のおばちゃんやけど、達明…たー君遊びに行ってない?」
やけに甲高い、それでいてやけに早口にまくしたてるのが小川のおばちゃんの癖でした。普段は何とも思わないおばちゃんの声も私の喉を掻っ切るようなナイフに感じました。
「…たー君…来てないよ…今日は一緒じゃなかったから…」
聞き取りにくい小さな小さな声で言ったのですが、それは恐ろしい程自然に出た答えでした。私の顔は今までで一番冷酷な顔をしていたに違いないでしょう。先程までの震えも嘘のように止まっていました。きっと残忍な人間は、平然と嘘をついても普通でいられるのでしょう。
私もそんな人間に仲間入りしたかと思うと、反吐を吐きたくなりました。
それでもおばちゃんの甲高い声は一層声音が上がり、
「そうなの!?おかしいわね?こんな時間になっても帰ってこないのよ…てっきり龍ちゃんの所に遊びに行ってるのかと思ったんだけど…何処に行ったか心当たり無い?」
(心当たりどころか…僕は! )
思わず拳に力が入りました。しかし、私はまたもや平然と、
「…分からない…学校出るまでは一緒だったんだけど…その後用事があるって言ってどっか行っちゃった…」
その声は笑っていたのかもしれません。悪魔のように、さぞ恐ろしい笑みだったでしょう。
「そう、御免なさいね。一緒だと思ったから。もし、達明が龍ちゃん家に行ったら帰るように言っておいてくれる?晩御飯できてるからって」
(…おばちゃん…僕は…)
「…うん」
そう言うと、おばちゃんは元気良く電話を切ったのです。人を疑う事を知らないおばちゃん。何というお人好しでしょう。世の中には私のように冷酷で残忍な人間がうようよいるってのに。私はこの幼さで人間の汚さや狡さを覚えたのです。
しばらく…ツーツー…と続く電話の音を聞きながら私は受話器を置きました。その時の私の表情を見てもらいたいぐらいです。しかし…自分への怒りと悲しみを抑えることはできませんでした。風呂場に駆け込み、服も脱がずシャワーを全開にして浴びました。
30分近く身動き一つせずシャワーを浴び、色んな事を考えていました。真っ白になりそうな頭を時には振ってみて、時には壁に打ち付けて考え続けていました。
(たー君は僕が殺した…直接手を下してはいないが…僕が殺したも同然だ…)
江戸川 乱歩の「赤い部屋」の主人公のように完全犯罪を私は成し遂げたのです。しかし、それは私の望むところではなかったのですから、殺人にはならないのでしょうが。
それから半年…私は毎日悪夢に魘されました。
毎日毎日同じ夢ばかり見る…この時程、神を怨んだ事は無いでしょう。苛めにあっていた時でさえ、ここまで神を怨んだ事は決して無かったような気がします。その時点でそれは、苛めと言う程の事でもなかったのかもしれませんが。
自分が痛い目にあうよりも、親友を失う方がよっぽど痛い…なら、何故、たー君を助けなかった?本当はどうなんだ?本当に私は自分より彼の方が大切なのか?分からない? いつもそんな疑問を抱きながら、毎日を暮らしていったのです。
その後、普通に中学校、そして工業高校に入学し、大学に入り今に至るわけですが、一応高校の事を少々話しておいた方が良いでしょう。と言うか、そこが今回の一番重要な部分になるわけでありまして、ここを話さなくては私の懺悔話は完成しえないのです。
中学から私は、オカルトにはまりました。いや、はまらざるをえなかったのでしょう。薄々それは感じていたのですが、あえてそれを糧にして生きる事は考えませんでした。それは単に自分を苦しめる事にしかならないと思ったからです。
それでもやはり私は罪の意識に苛まされ、自分を無意識のうちに苦しめる事は多々あったのでしょうが。
高校に入ってからも、より一層オカルトについて勉強しました。寝るのも惜しんで本を読んだり、親には高校の勉強で使うと嘘を付いてお金を貰い、研究材料に注ぎ込む日々もありました。今思えばそれも良い想い出です。
私にとって良い想い出など皆無に等しいのですが、自分の足枷は私の生きてきた軌跡であって、決して忘れられないでしょう。なんだかんだ言ってずっと考えていたのです、試行錯誤していたのです、私は…
罪滅ぼしになるとは全く思わないですし、何もしないで生きていく気力は元々私には無かったのではないのでしょうか。
高校に入ってすぐに私はオカルト研究同好会(田舎なのですが、何故かそんな怪しげな部活動はあったのです)に入り、少ない部員達と共に日夜研究に励みました。と言っても所詮は学生の遊戯です。身を削るようにして研究していたのはきっと私一人だけだったのではないでしょうか。
まあ、その事について私は別に不快感を持ったわけではないですから文句の一つもありませんでしたが。
高校2年の4月だったか、5月だったかあまりはっきりとは記憶していませんが、私にも私の理不尽な研究活動を認めてくれる人が出てきてくれました。
それは違う学校に通っていた中学校時代の同級生の女生徒でした。彼女も、少々オカルトに興味があったようなのですが、私の異様な狂気にも似たオカルトに対する執着心に惹かれたのでしょうか?
彼女も、もしかしたら変わり者だったのかもしれません。こんな私を慕ってくれるという時点で、ちょっと変わった子であったのは間違いないでしょう。学校が終わると、私は電車通だったのですが、彼女も偶に私と一緒に研究に力を注いでくれる事もありました。
その頃がもしかしたら人並みの幸せだったのかもしれませんが、あまり男女の関係とやらに無関心であった私(そんな事よりも私には大きな使命が科せられていたのですから)は、彼女の気持ちを半分も理解しなかったのでしょう。
ふと、彼女がオカルトのビデオを借りてきました。彼女の部屋にはTVもビデオデッキもあったので、彼女の部屋で見る事になりました。
しかし、悲惨なことに、そのビデオはオカルトというよりもホラーに近いビデオでした。しかも、その話は、小学生の仲良し二人組みが出てきて一緒に遊んでいたら、上級生達にからまれて、結局一人がもう一人を庇い殺されてしまうという話だったのです。
最後に殺された子が半透明(皮膚と肉が透明なのです。要するに人間の形を縁取っているのですが、あるのは骨と内臓、眼球、脳といったものばかりの薄気味悪い化け物です)な姿になって復活し、上級生達に復讐するわけですが、復讐を成し遂げた後、親友だった子を食べる(生きたまま食らうわけです)事によって普通の人間として生活できたというところで幕を閉じます。
その話は私を震え上がらせました。まるでこのビデオを作った人は私の人生を見てきたかのようにそっくりに作っているのです。不思議なことに製作者の名前だけは最後まで出てきませんでした。しかし、彼女は、
「凄い話だったね。でも私こういう話好きだな。龍ちゃんも好きでしょ、こういうの。でもね、実は他にも色々借りてるんだ。ラブストーリーなんてどう?」
私は震え上がると同時に怒りが込み上げてきました。忘れた筈なのに私の思考の中にはそれしかありませんでした。
「うるさい!何でこんな物借りた!!研究じゃなかったのか!!ふざけんてんのか!!」
私の怒りは爆発し、
ぱんっ!!
彼女の顔を思い切り平手で殴りました。彼女は殴られて完全に茫然自失になってしまいました。怒りにまかせて私は部屋を飛び出し、あの裏山に走りました。一晩中泣き崩れていた私は一週間学校を休みました。彼女から電話が何度かあったのですが、私は絶対に口をききませんでした。
暑い夏に差し掛かった良き日に起こった出来事です。それから私は彼女と話していません。しかし、こんな恋愛物語を書きたいわけではありません。高校3年になって、私は研究に研究を重ね、遂にその研究の成果を試す時が来たのです。
私達が、いや、私が必死になって研究してきたものとは…生物蘇生の魔術だったのです。私の意気込みを気に入ってか、オカルト研究同好会のメンバーも私に力を貸してくれる事になりました。ありとあらゆる器材、道具を集めて、真夏の夜中に、遂に恐るべき計画を実行する事となったのです。
私は、私が殺したたった一人の親友…たー君を蘇生させようと言うのです。無論、上手くいく確立など零に近いものぐらい分かってはいます。しかし、上手くいく、上手くいかないなどもはや問題ではなかったのでしょう。これの意味は、この危険度の高い魔術を行う事にあるのです。
私は例え地獄におちてもかまいません。自らの手を汚す事に意味があるのですから。
(貴様らには、私の気持ちなど分かる筈が無いのだ!!!)
いつも私は他人が羨ましかったのです。憎かったのです。私は他人とは違う!と思い続けていたから。
時刻は0:00。遂にこの瞬間が訪れました。悲願達成まで後少しなのです。
オカルト研究同好会の部員、それはおそらく今までで最高の人数が集まったでしょう…7名が部室に集い、部室の中央に六紡星(邪悪な魔法陣です)を描き、それを囲む様にして、一人一人が決まった手順で意味不明な呪文を唱えます。
「ルキア/アグルフ/リグルリフアリ/ラフィラフィリグル・・・ファーストネームイクォールオガワ・・・セコンドネームイクォールタツアキ!ゴッドデヴィルの御名において許されざる子羊達の眺望の前に現参せよ!」
結局…何も起こらなかったのです。十数分待ちましたが、それも無駄でした。一人、また一人と文句一つ言わず部室を後にします。気付いたら残っていたのは私一人だけだったのです。時計を見ると、0:30・・・こうなる事ぐらい予想していました。
私には決して後悔など無かったのです。むしろこれからの生きる目標が無くならなくて済んだとほっとしていたに違いないでしょう。しかし…
…奇跡は起こったのです。目が眩む程の発光と、鼓膜が裂けそうになる程の轟音、そして死体を初めて匂った時の腐った悪臭、さらに血と泥の味…体中がバラバラに砕け散りそうな感触!五感全てが麻痺するような感じでした。
その時、私は神を見たのでしょうか?それとも罪深い悪魔?目の前にいたのは、確かに私の親友…たー君…小川 達明その人でした。
…私は震えました。そのあまりの出来事に、喜びと悲しみと嬉しさと悔しさと驚嘆と感慨が入り交じった様なよく分からない、理解しえない、考察できない自分に震えました。
(一体何なのだろう?この気持ちは、形容できないこの気持ちは)
ふと涙がポロポロ溢れ出てきました。この時の私の顔はきっと見れたものではなかったでしょうね。私は、生涯、もう会う事もできないであろう、親友であった、たー君にもう一度、触る事ができるのです。誰一人としてこんな体験は持っていないでしょう。彼に近寄り、私は号泣しました。泣きながら…
「…たー君…御免よぉ…僕は…君を助けられなかった…僕には君を助けにいく勇気が無かったんだ…御免よぉ…御免よぉぉ…」
何度も何度も謝ったのですが…しかし…意外な答えが返ってきたのです。
「…龍ちゃん…すまなかった…俺は君を助ける事ができなかった…俺には、そんな力など無かった…君を助ける事ができず今まで生きてきた…君を生き返らせる事が俺の役目だったんだ…君は今まで夢を見ていたんだね…」
意味不明な言葉が返ってきたのです。全くと言って意味不明。しばらく私は理解できませんでした。
「…あの時、君は俺を助けに飛び出した…しかし、上級生達は、助けに入った君を怒り、石で殴りつけたんだ…俺の見ている前で君は死んだ…これは変えられない事実だ…死んでから今まで君は夢でも見てきたのだね…そうか…夢の中では…君の中では…君は、俺が死んだと勘違いして、俺を生き返らせようとしたんだね…それを聞いて嬉しいよ…君が今までそんな夢を見ていてくれて…だが、君が死んでいたのは事実だ…君は完全に蘇生はできなかったようだ…」
それを聞いた途端、私は、震えが止まらなくなりました。
(…死んだのは…僕?…そんな馬鹿な…じゃ…今まで見ていたのは…ということは、あれは幻想じゃなかったのか!?あれは幻覚じゃなかったのか?あれは現実だったのか!?)
信じられないといった表情をした私を見て彼は優しくそれでいてはっきりと分かるように言いました。
「…それを証拠に…鏡を見たまえ…」
言って、たー君は部室の壁に貼り付けてある大きな鏡を指差しました。
そこに写っていたのは…たー君と…そして、人間の標本とでも言うべきか…肉と皮が透明で、骨や、臓器、脳に眼球、血管などで構成された人間…あのビデオに出てきた化け物。それが私自身、神魔 ( じんま ) 龍その人だったのです。
「…う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁあっぁぁぁあぁ!!!!!!!!」
頭が割れるかのような叫び声を上げ、気絶しそうになりながらも意識をしっかりと定めます。このまま夢の世界へ行けたらどんなに楽だろうという衝動に駆られながらも必死に現世との意識の楔を繋ぎ止めながら、しばらく呆然としていました。
腹の中から熱いものが込み上げてきて、それは喉を焼きながら異物となって私の口から飛び出てきました。しばらく涙を流し息を荒げながら苦しみ、しばらくして再び感慨に耽りました。
親友はそんな私に悲哀に満ちた眼差しを向けていました。私も彼をそんな目で見ていたのでしょうか?いえ、私は恐怖に脅える眼差しを彼に向け、「僕はどうすればいいのか?」と彼に対して心の中で繰り返し叫んでいたのだと思います。
彼もそんな私の真意を見抜いたのか、フッと笑みをこぼしたかと思うと、彼の口からとんでもない言葉が発せられたのです。
「君を完全に蘇生させる事はできなかった。それは最初から分かっていたのだがね。そもそも人体蘇生術が成功する確立は10の-19乗%。完全な体、要するに人間の肉体で蘇生する確立はもっと低かった。残念ながら君が蘇生したのは、まさに奇跡というしかないのだ。だが、安心してくれ。君が人間として生活する方法はあるのだ。人間の肉体を持つ方法がね」
彼はもったいぶるように遠回しに言うのです。いや、言いたくないのがひしひし伝わってくるのですが。彼の負の感情が私の脳、いや心臓に響くのです。胸が押し潰されるような焼けるような苦しみが彼の感情によって与えられるのです。
私は悲哀を感じずにはいられませんでした。その先はあまり言ってほしくなかったのです。無意識のうちに私は首を横に何度も振っていました。しかし、彼はその先を言ってしまったのです。まるで感情のない声で、
「君が人間の肉体を取り戻す方法は実に簡単だ…俺を食べればいい。生きた人間の血肉を食べる事により、君は、君に失われた肉体と皮膚を取り戻す事ができる。君は普通の人間として暮らす事ができるのだよ。そして人体蘇生術の凄い所は、周りの人間に君が死んだという事実を忘れさせる事ができる。現状では君は死んだ事になっているのだが、まあ、実際死んでいたのだから当たり前だが。君がこの世界に戻ってきた時点で君は死んでいなかったという事になるのだ。まさに神が起こした奇跡だよ。そして運命でもう決められているのだ。君は俺を食べて生活していく。人体蘇生術で蘇生した人間は最初に見た人物、要するに俺を食べるのだ。絶対に。まあ、完全体で復活すれば別だが」
言って彼はニッコリと満面に笑みを浮かべました。彼は何を言ってるんだ?としばらく自問自答しながらも彼の言っている意味は理解できます。
しかし、私が彼を食べる筈があるわけないじゃないですか。しかし、それは私が蘇生した意味がないという事を裏付ける事でもあります。
「さあ、遠慮する事はない。俺はもう十分生きた。悔いはない。俺を食らうんだ」
言って彼は両手を広げ、私に食べられるのを望むのです。こんな馬鹿げた話があるでしょうか。馬鹿馬鹿しすぎて私は頭の中が真っ白になりそうでした。しかし、私の中のどす黒い感情が異様に高まってくるのです。
負の感情というものか、それとも悪人が人を殺す時に生まれる感情か、それともただただ純粋に生への欲望か、何がなんだか分からなかったのですが、気付いた時には私は彼をさも美味しそうに食べたのです。まるで腹が減った野獣のように、親友であった、たー君を私は貪ったのです。
生きた人間の血肉。美味しかったのか不味かったのかよく記憶していません。あまり記憶したいとは思いませんが。とにかく私は彼を食らったのです。腕や足を引き千切りながら(何故か素手で簡単に彼の体を引き千切れました)嫌な音を立てて彼を食らいました。
不思議と彼も私も平然とそれをやってのけたのです。
彼は抵抗どころか、むしろ私に食われる事が本望かのように平然としていましたし(実際叫び声一つ上げませんでした)私も親友を食べる事が痛くも痒くもないかのように当たり前の如く彼を食らいました。そこには友情も怒りも悲しみもありませんでした。
とにかく人間の欲求である「食べる」という事を行っただけだったのです。食べ終わった(彼を平らげた)後も私は涙一つ流さず、口元を拭い、満足そうな微笑を浮かべました。鏡を見ると私は普通の人間の体に戻っていました。
別に嬉しくもありませんし、悲しくもありませんでした。彼が今までいた場所には、骨一つ残っていなかったのです。私は人間を全て食らう事によって完全犯罪を成し遂げてしまったのです。不思議なことにそこには血さえ残っていなかったのですから。
昔これと同じ事があったような・・・と既視感(デジャヴ)を覚えました。
そうして私は高校を卒業し、大学に入り今に至るわけです。ですが、今までに何度か奇妙な体験をしました。私はどうやら人間離れした能力を二つ手に入れたようなのです。
まず一つ目は、人間を食らうという事です。完全犯罪のためにやっているわけではなくて、周期的にどうやら人間が欲しくなるようになっているのです、私の体は。現在まで十人の人間を食べましたが、やはり若い女性が一番美味しかったのを記憶しています。
大学に入ってすぐだったのですが、市内で起きた女子高生失踪事件で行方不明になっている彼女を私は食らったのです。他にも色々な人を食らいましたが、やはり若い女性が一番だったようです。周期的に言うと、そろそろ私が人間を欲しがる時期に来ています。
まだ誰を食らうかはその時になってみないと分からないのですが、犠牲者になった方はこれも運命だと思って諦めて下さい。
そしてもう一つは、人の負の感情をある程度読めるという事です。高校時代、校内で暴力事件が起こったのですが、私はそれを予感していました。
結果は殺人までいかなかったので良かったのですが、彼(暴力事件を起こした人です)は、本当に殺してしまうのでは?と思わせる程のどす黒い負の感情を背負っていました。最後には彼にも光が射したのだと思います。
そして私のこういった負の感情を読み取り予期した事は何度も当たりました。今のところ、100%です。そして、最近、負の感情が次第に高まっていくのを感じています。このままいくと、大学内で殺人事件が起こります。
近い将来きっと起こるでしょう。
ですが、この事を喋る事はできかねます。運命、いえ、もはやこれは輪廻によって定められている事なのですから。とにかく私はこの事については絶対に喋りません。喋ってはいけない事であり、私はできるだけ他人との会話を避けます。ふとした事でこの事を喋ってしまう可能性があるわけですから…
以上で私の懺悔の手記を終わります。この話は作り話(フィクション)です。ですから以上の事についての質問には一切答えられません。話してはいけないのです。どんな不幸が待っているか分かったものじゃないですからね。
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